*2人で頬を染めながら
一向は、人食い遺跡へ向かっていた。
仲間の一人、ノーマが、エバーライト探索のため
皆を引き連れて人食い遺跡に来たのであった。
人食い遺跡。
明らかにいい雰囲気がしない場所なのだが
遺跡内は意外と明るく、綺麗である。
いつものように、人の命がかかっていたりしなかったので
少しピクニック気分で皆は歩いていた。
「今日の朝食べてきたハリエットのサンドイッチが胃にもたれてる・・・」
先ほどから少し顔色の悪かったセネルがボソリとつぶやいた
「私も・・・チョット・・・」
と、シャーリィ。
「アレはキツかったよねー・・・でもウィルっちよくあんなの食べてて
お腹壊さないねー」
「・・・気合だ」
「ハリエットちゃんのサンドイッチ、とーってもおいしかったわよぉ」
などと、皆が楽しく会話している中、ジェイの顔は暗かった。
あの日から、モーゼスの事が頭から離れないのだ
しかし、モーゼスはいつもの調子だった
ジェイも、いちおういつものように振舞っているが
ツッコミにキレがなかった
周りの皆も、ジェイが少しおかしいことに薄々気がついているようだ
そんな中、ノーマはさらに場を盛り上げようとしていた
「もー!エバーライトまであと少しよ!!
はりきっていこー!!」
と、腕を振り上げ、テンションを上げていたのだが
腕を振り上げる瞬間、横の壁に手を打ち付けてしまった
「・・・ったぁ・・・!!」
明らかに壁は悪くないのだが、ノーマは痛さのあまり
「何すんのよ!この壁!!」
と、壁を思い切り蹴りつけた。
パカ
「・・・ん?パカ?なんじゃ?」
と、モーゼスがあたりを見渡すと、周りの視線が自分をみているではないか
自分の足元を見ると、そこには真っ暗な穴
次の瞬間、モーゼスは落下していた
ジェイと共に
「ギャァァァァァァァァァ!!」
「ワァァァァァァァァァァァ!!」
セネルが、「ジェイ!!モーゼス!!」と呼びかけたのも虚しく、2人は闇の底へ消えて行った。
「・・・・ん」
目を開くと、見覚えのない場所。
しかし、周りの景色から見ると、人食い遺跡のどこかであると判断はできた
が、問題は自分の下にあるものだった
生身の肌があるのだ、モーゼスの
「・・・っ!!」
つい驚いて、思い切り飛び上がり離れてしまった
「なんじゃ、やっと起きたんか」
どうやら、少し気を失っていたらしいが
モーゼスはジェイより早くに目を覚ましていたらしい
「やっと起きたって・・・起こしたらよかったじゃないですか」
「いや、なんかのぅ、寝顔かわいらしかったし・・・」
軽くモーゼスの頭をどつくと、彼はクカカ、と笑った
すると、自分の頬が熱くなるのが分かった
「のぅ、ジェー坊」
冗談を言っていた顔を急に真剣な顔にして、モーゼスは言った
「な、なんですか?」
真剣な顔に少し驚き、一歩引き気味の状態でジェイは返事をした
「・・・最近元気ないみたいじゃが・・・なしてじゃ?」
「・・・」
なぜかと言われると、明確な理由は分からない
でも、原因はあの日のキスだとは分かっている
しかし、ジェイは何も答えなかった。
「やっぱり・・・ワイがあの時、キスしたからかの?」
と、少し困り気味の声で言うモーゼスから目線をそらしながら
「・・・原因と言われれば、そうですね」
と、小さな声でつぶやいた
「ワイの事、嫌いになったんか?軽蔑したか?」
確かに驚いたが、頭の中で嫌いになるという発想を持っていなかったジェイは
モーゼスのほうを見て首を横にふった
「・・・ほぉか、よかった」
とモーゼスはつぶやくと、ジェイに近寄り、両手で肩を持ち
しっかりと目をあわせて力強く言った
「ワイは、付きおうてもないヤツとキスらした事ない
キスして気づいたんじゃが、ワイはジェー坊の事好きみたいじゃ」
突然の告白に目が点になった
これは冗談だ、と思い、モーゼスの顔を見るが
どうやら彼はいたって真剣なようだ。目を見れば分かる。
モーゼスが、自分を好き、等と思ってもみなかった
いや、普段から一緒のいるのだから、好かれているのは分かっていた
だが、恋愛対象として好かれてるとは思ってもみなかったのだ
「でも・・・ボク、一応男なんですけど・・・」
と、少し目をそらして言うと、
「男とか、女とか、関係ないじゃろ
好きなもんは好き言うて何が悪いんじゃ」
と、平然顔をして彼は言う。
そして、ジェイは自分の頭の中で、男とか女とかを抜きにして考えると
自分もなんだかんだ言ってモーゼスを好きという事に気がついた
顔が、熱い。
顔を真っ赤にしてうつむくジェイを見て、モーゼスは答えが分かったようで
あごに手を添え、少し顔を上向かせると、
ジェイに優しくキスをした。
唇と唇が触れるだけの、ほんの少しの間だけのキスをした。
「・・・酔っちょらんからな、今は本気じゃ」
とつぶやき、もう1度キスをした。
少し頭が回っていなくて、顔が熱くて
こんな感情がはじめてで、よく、分からなくて
でも、またキスをされて、優しく抱きしめられると、
これが好き、という感情なんだ、と、知ってしまった。
そして、皆の場所にたどりつくまで、手を繋いで歩いた。
2人で頬を染めながら
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