*Isn't it enough?
もう十分ではないか?
そう、思う。



生き物に、永遠の命なんてものはない。

自分は、18年前に死んだ。

しかし、こうして生きている。

生きていることが辛い。



生き返ったときは、何が何だが分からなかったが

シャルがいたからか、安心できた。

カイル達に出会って、旅をした。

旅の途中で、色んなことがあった。

10年後へ行って、改変された世界も見た。

1000年前へ行き、人間のシャルと出会った。

18年前へ行き、昔助けられなかった仲間を助けれた。

現代で、神のたまごも現れた。

そして、エルレインを倒し、そして

神を殺した。

神を殺すと、今まで神が関わってきたことがなくなるようだ。

つまり、神の力で生き返った自分は消える。

やっと、やっと元の世界に、歴史に戻り、


僕は消える。


光に包み込まれる瞬間

それは死ぬ瞬間、消える瞬間。

恐怖等は、感じなかった。



自分は何処へ行くのだろう?

このまま消滅するのか?

地獄にでも行くのだろうか?

それとも、新しく生まれ変わるのだろうか?



どうせなら、消滅してしまいたい。

楽になってしまいたい。









目が覚めると、そこは海。
浅瀬で倒れていた。
「ここ……は?」
自分の置かれている状況が今イチ理解できず、
どうすればいいか分からず、悩んでいた。
自分は、まだ生きている?
神の力は、神が消滅すればなくなるはずだ。
なのに、神の力で生き返った自分は今、生きている。
何故?
そんなことを考えている時、背後から声が聞こえてきた。
『……ぼ…ちゃん?』
もういないはずの声。とろんとした甘い声。
いつも聞いていた声。大好きな声。


もう会えないと思っていた声。


『坊ちゃん……?』
「シャルッ?!」
急いで背後から剣を抜き取る。
この持ち心地。
この重さ。
シャルだ。
「シャル……?」
『そうですよ、坊ちゃん』
「なん……で?」
『…僕も分からないんですが……気がついたら坊ちゃんがココに…』
「記憶はあるのか?」
『えぇ…坊ちゃんが神の眼に僕を刺したんですよね?』
「……あぁ」
”刺したんですよね?”この言葉が、非常に辛かった。
『……ココは…ダリルシェイドですか…?』
どうやら、シャルの言う通り、ダリルシェイドの裏の海のようだ。
「……クレスタは、すぐそこだったな」
『……そうでしたね…』



行こう。クレスタへ。
僕は、自然にこの言葉が出た。







「ねぇカイル、皆のこと覚えてる?」
一方、ここはリアラ、カイル、ロニ。
現在、ラグナ遺跡で出会った後、これからどうしようかという相談中。
「え?みんな……?ロニでしょ、リアラに、ナナリーに、ハロルド!んで、シューダス!…だよね?」
「フフ、そうよ、皆…今頃どうなってるのかしら…?」
「…さぁ…?ロニはどう思う?」
「んー…ちょっとまて…なんで神の力が消えてないんだよ?
 普通だったらリアラも消えてるはずだろ?
 俺達の記憶も消えてるはずだ、なんでだ?」
「それは、私、私がやったの」
「えぇ?!リアラがっ?!」
「うん……
 消えたくない。って思ったの。カイルと別れたくない。
 もう会えないだなんて、イヤ。って思ったの。
 じゃあ……あのペンダントが目の前に現れたの。
 必死に、強く願ったわ。みんなに、みんなとまた一緒に旅をしたい。
 今までの思い出なんて消さないで。
 忘れたくない。大切な思い出を。
 カイルに会いたい。
 じゃあ、目の前にカイルがいたの。」
 それで、今よ」
「そう……じゃあリアラのおかげだね!ありがとう」
「やだ……私は、私がそうしたいと思ったからしたのよ」
「でも、俺にとっても嬉しいことだし、ありがとうだよ」
「カイル……」
二人がイイ感じになっているときに、横でひとりになっているロニがため息をついた
「あーあ……もう熱い熱い」
「「ロニーーーーーー!」」

という会話を交わしている間に、そこそこ時間が経っていた。
さぁこれからどうしよう……?
という話題になったころ、前方から、どこか見たことのある姿が見えてきた。
「ジュー…ダス?」
見たことのある姿は、もう目の前に居て、こう言い放った。
「……またこのバカ顔達が拝めるとはな」

「ジューダス!!」









もう十分ではないか?
そう思う。
しかし、貰えるものは全部貰おうではないか。
もう十分だと思う。
けど、それでも与えてくれるというのならば、
ありがたく頂こうと思う。



今ならこう言える。
生きるのも辛かった。



また、一から新しい旅が始まる。





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