*治療


「あぁーーーっ!じめじめするぅーー!」
今日何度か目のカイルの叫び声が響いた。
現在地は、白雲の尾根。とある証を探しに行く途中だ。
「モアイがなんとかって言ってたけどよ、モアイなんてどこにもないじゃねぇかよっ!」
「第一、飛行船が霧の中に着地できないとか、そんなのナシだよ!
 ハロルドもさーもうちょっと考えて造っておいてよ!」
「知らないわよ!私の時代には、白雲の尾根なんてなかったもの」
「あっ……そっか」
「グズグズ言ってないで、さっさと歩け!」
くだらん、とジューダスは言った。確かに。くだらないだろう。
しかし、視界は狭いし、湿度が高くて気持悪いし、歩き疲れたしと、最悪な条件の中、カイル達はいた。
しかし、不幸中の幸いと言えよう。前に一度使った小屋を一同は発見し、今晩はここで一夜を過ごすことにした。



今日の料理当番はナナリーで、小屋においてあったコングマン印のものや、
自分達が持っていた食材を使い、けっこう豪勢な食事をすることになった。
「んーうまいっ!」
「やっぱ人には一つや二つ才能があるんだなぁっ!♪」
と、カイルやロニが言っていたり、
「あっ、ナナリー、これってどうやって作ったの?」
「これは、うちの村で代々伝わっているものなんだよ!」
というリアラやナナリーの声や、
「これはねー!この薬品を入れた方がおいしいっしょっ!♪」
などと言うハロルドの声が響いていた。
しかし、その中で、一人食が進まないものがいた。ジューダスだ。
少しだけ食べると、すまないが、もう寝る。
と言って奥のほうで布団を敷きはじめた。
ロニは、その時ジューダスを見て少しおかしいことに気が付いた
他のメンバー食事も済み、カイルとロニが後片付け、
明日の用意などをしているうちにけっこうな時間になっていたので、みんなそろって寝ることにした。
が、ロニはすぐ帰ってくるから!と言い、小屋を出ていったが、みんな気にする様子もなく、(笑)寝静まっていった。



しばらくして、ロニは、片手に葉を数枚、タオルを2,3枚、ペットボトルに水を入れて持って帰ってきた。
どうやら皆寝ているらしい。
おいおい…見張りもなしかよ!危ねぇな…等と一人でツッコミながら、ジューダスの布団へ足を忍ばして行った。
ゆっくりと足のほうから布団をめくり、足をつかもうとしたその時、ジューダスに気づかれたらしく、
低く「何をしている…」というジューダスの不機嫌な声が聞こえてきた。
「あ、起こしちまったか…ごめん」
「質問に答えろ。何をしようとしていた」
ジューダスの機嫌は、どうやら最悪らしい。
しかし、ロニは質問に答えず、ジューダスの左足を掴むと、軽く捻った
「っあ…!」
すると、ジューダスは、少し高い声で小さな悲鳴を上げた
「やっぱりなー…歩き方がおかしいと思ったんだ。捻挫してるじゃねーかよ」
と、捻ってごめんな、とロニは付け足して言った。
「……これくらい、平気だから放っておいたんだ…」
と意地を張るジューダスに対して、ロニは、
「お前は、アホか軽く捻っただけであんなに痛そうだったんだ。こりゃ相当我慢してただろ?いつ捻った?」
と言いながら、痛くて飯も食ってられなかったんだろ?とも付け足した。
「…あのモンスターラッシュの時に…焦って」
あのモンスターラッシュとは、いきなり大群のモンスターが襲ってきた時のことだ。
確か、ジューダスが先頭に立ってやっとのことで倒した戦闘だった。
「体力ねぇのに張りきって先頭に立つからだ」
「うるさい…」
と、ジューダスは少し膨れていた。
「どれ、足見せてみろ」
と、ロニはようやく本題に入っていき、ジューダスの左足の裾をめくりあげた。
が、明らかにその足は腫れていて、痛々しい物だった。
「お前よくこんなの我慢できたなー…うわー…痛そう」
と言いながら足を軽く触っていると、ジューダスがまた少し声を漏らした。
「あ、悪ぃ…もうあんまり触んねぇからな」
と言うと、先程拾ってきた葉煎じはじめた。小屋にあった道具を上手く利用しているようだ。
明らかに怪しいことをしているロニに、ジューダスは少し不審を抱いていた。
「……何をしている…」
「いや、湿布作ってんだよ。ドクダミ、ウマブドウ、ウイキョウ、キバタとか混ぜてんだよ」
と、言い終わると、タオル2・3枚を重ねた上に、煎じた袋を一緒に当てた。
そして、川から拾ってきた水を足にかけだした。
「っ…冷っ…」
とジューダスはぼやいたが、無理した罰だ。我慢しろ。というロニの言葉でかき消された。
「これで湿布になるらしいんだよな。うん。昔なんかの本で読んだんだ」
と、ロニは言うが、何かうさんくさい。が、せっかくしてもらったんだと思い、
「ありがとう」
とうつむいて言った
すると、ロニはかなり驚いた顔をして止まっていた。
「なっ…なんだ…」
とジューダスがすこしどもっていると、
「お前が素直に礼を言うなんて珍しい…」
と言った。
「僕だってちゃんと礼くらいは言うに決まっているだろう!」
というジューダスの怒鳴り声で、カイルを除く他のメンバーは目を覚ましてしまった
「んもー!!!夜中にうるさいわよ!」
という声に怒鳴られ、ロニとジューダスは夜中の見張り番を無理矢理任せられることになった。
夜は、ゆっくりとゆっくりと更けて言った






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